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すぐそこまで迫っている未来:「グルーポン型クーポン譲渡詐欺」(前)

※この物語はフィクションです。
構成の中で一部事実が含まれておりますが、
登場する団体・人物などの名称はすべて架空のものです。

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グルーポン系クーポンに、また新たな問題が浮上している。

【2011年4月25日 時同通信】

グルーポン系クーポンの「クーポン譲渡システム」を悪用した
「重複クーポン譲渡詐欺」が発生している事が20日、分かった。

クーポン共同購入サイトで販売された割引クーポンにおいて、
店に持参したクーポンの番号確認を行うと「使用済み」と判定され、
クーポンが使用できない事態が4月上旬から複数種のクーポンで
相次いで発生している。

対象クーポンの1つとなった、3月上旬に販売された
「川崎のフランス料理店」のクーポンにおいては、
同じ番号のクーポン(重複番号クーポン)が4月から何度も
持ち込まれるようになった
という。

店から報告を受けたクーポン事業者は、神奈川県警と共同する形で
捜査を開始した。

サイトの使用履歴から「クーポン購入者A氏」が割り出され、
まずA氏に事情を伺ったところ、以下の回答があったという。


『3月にクーポンを4枚購入したが、中旬に使用後、1枚だけ余ったので
”クーポン譲渡仲介サイト”を通じて「B」という人に売った。
その後はクーポンに関与していないので、分からない。
事件発生は知っており、最近もBにメールで連絡を取ろうとしたが、
メールを送っても「あて先不明」で返ってきてしまう』


A氏のパソコンには、確かに「B」と譲渡交渉を行い、成立したことを示す
メールの履歴が残っていた。
同時にA氏が使ったと言う「譲渡仲介サイト」のログも調査したが、
同様に譲渡交渉の証跡が残っており、またA氏は「B」以外と譲渡交渉を
行った形跡が無いことも判明した。

その後、当該店に重複番号クーポンを持ち込み、「使用不可」と
判定された複数の利用者から話を伺ったところ、当該クーポンは
 『譲渡仲介サイトを通じて、「B」からクーポンを譲り受けていた』
ものであることが判明した。

利用者の振り込み履歴から「B」の銀行口座を割り出し、
その口座履歴を調べたところ、4月上旬から「B」の口座に
クーポン代と思われる振込みが325人から行われている
事が判明した。

そして、4月14~18日にかけて、Bが口座から大量の現金を
連日引き出している
ことも判明した。

これを受けて神奈川県警は「詐欺」として立件し、
銀行に要請してBの口座を凍結した。

「共同購入型クーポン」は、クーポン購入後にクーポンサイトから通知される
特定クーポン専用のURLにアクセスし、そのURLに表示されるクーポンを
パソコンで印刷して店に持参するという「自宅プリント」方式を採用している。

この「特定クーポン専用URL」は、URLを知っていれば誰でもアクセスが
可能であり、クーポンの譲渡は「URLを他人にメールで通知する」形で
行われることが通常だという。

ほぼ全ての事業者が無条件または条件付でクーポンの第三者への譲渡を
認めており、クーポンの譲渡システムを「プレゼント機能」「ギフト機能」と名づけて
クーポンサイトの魅力の1つとしてアピールしている事業者も多い。

また、印刷用画面に表示されたクーポンの画面キャプチャを取ったり、
実際に紙に印刷したクーポンを「自炊」して、画像データとして保存することで
紛失対策を行う
人も多いという。

今回の重複クーポン譲渡詐欺は、被害者が「B」に代金を振り込み後、
Bからメールの添付ファイルとして送られてきたクーポン画像を受け取り、
それを印刷して店に持ち込んだ時に「重複クーポン」が判明した。

ここまで書いてきた事件の流れをまとめると、以下のようになる。

 ① A氏が3月上旬にクーポンサイトでクーポンを4枚購入
 ② A氏が3月中旬にクーポンを3枚使用
 ③ A氏が3月下旬に譲渡仲介サイトを通じて「B」に残りの1枚を譲渡
   譲渡は「クーポンURLを通知」する形式。
 ④ Bがクーポンを画像化して保存
 ⑤ Bが譲渡仲介サイトを通じてクーポンの(再)譲渡先を募集
 ⑥ ⑤に対する受取希望の連絡がBに来る
 ⑦ Bが希望者全員と同時交渉し、クーポン代振込先口座を連絡
 ⑧ Bの口座に次々とクーポン代が振り込まれる
 ⑨ Bはクーポン代を振り込んだ相手全員にメールでクーポン画像を送付
 ⑩ ⑨でクーポン画像を受け取った人がクーポンを印刷して店に持参
    ここで「重複クーポン」が判明
 ⑪ ⑨~⑩の間にBは銀行口座から大量に現金を引き出す
 ⑫ ⑩と同様の事態が続出し、騒ぎになる。

この事件の捜査は現在も続けられているが、手がかりが掴めず
捜査はほとんど進んでいないという。

まず「Bとのメール履歴」を調べようとしたところ、
Bは海外のフリーメールサービスを使っていたことが判明している。

そしてメール送受信などで必要となるインターネット接続情報も、
「プロキシ」と呼ばれるやり方で偽装されており、Bのインターネット
接続情報がほとんど取れない状態だという。

神奈川県警によると、今回の「重複クーポン譲渡詐欺」は、
インターネットの掲示板を利用した「チケット譲渡詐欺」(チケット詐欺)と
似たような犯罪構造であり、同様に「検挙もきわめて難しい」としている。

チケット詐欺は2002年末から被害が増え始め、現在も毎年100件以上の
事件が発生し続けている犯罪であるが、手がかりが極めて揃い辛く、
年間数件程度しか検挙出来ていないという。

「重複クーポン譲渡詐欺」は、普通の譲渡であれば「譲渡元」のクレジットカード
使用履歴から犯人を割り出す事が可能だが、今回のように「譲渡の譲渡」である
場合は、犯人とクレジットカード使用履歴との紐付けが出来ないため、
メールログとインターネット接続情報から犯人を捜すしかない。

また「振込先口座情報」については、インターネット詐欺が多発する今、
被害規模を特定するためのツールにしかならないという。

この「メールログとインターネット接続情報しか手がかりがない」点が
チケット詐欺と同じであり、今回の重複クーポン譲渡詐欺も
「犯人検挙の見込みはまったく立っておらず、今後見込みが立つ可能性も薄い」
と神奈川県警はコメントしている。

なお、この事件の対象となったフランス料理店では、「B」のクーポンとは
別番号の重複クーポン利用が4月から相次いでおり、重複番号判明の度に
客と揉め、店内の雰囲気が悪化して、別の客からクレームが来るという
事態が連日発生しており、現在はクーポンを一時利用停止にした上で
クーポン事業者と今後の対応について話し合っているという。

また本件について時同通信がクーポン事業者に話を伺ったところ、
「時間が無いのでお答えできません」という回答が文書で返ってきている。

共同購入型クーポンサイトは、今年正月の「バードカフェおせち事件」を
きっかけに問題点が次々と報道されている。

2月中旬に吉祥寺のたい焼き屋において「重複クーポン使用問題」が
発生し、クーポン事業者から店舗側に提供する「クーポン照合システム」が
実用に堪えないものである点が激しく非難され、より照合しやすい
システムの構築を開始していた矢先の「詐欺事件発生」である。

この事件発生を受けて、複数の共同購入型クーポンサイトで
「重複クーポン譲渡詐欺にご注意ください!」という旨の注意喚起を
行うようになったが、これは表面的な対策に過ぎず、
根本的な対策には至っていない。




後半に続く)
 
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